◆障害年金 受給の3条件
障害年金を受給するためには、以下の3つの要件をクリアしないといけません。
Ⅰ 初診日要件
障害年金の申請をするとき、まず確認するのがこの初診日です。この日付を特定しなければなりません。
初診日とは、その症状で初めて医師の診察を受けた日です。(病気を発症した日ではありません)
この初診日の時点でどの年金制度に加入していたかによって、請求する障害年金の種類が変わってきます。
会社員である日に初診日があれば厚生年金、自営業や学生や主婦であれば国民年金、公務員の場合は共済年金、といった具合です。
また、初診日の時点でそれまで保険料を払っているかを確認します。
このように、初診日は障害年金の受給権の有無や受給金額を左右する大変重要な日付、ということになります。
ところで、この初診日が特定しづらいケースが時々あります。
たとえば、うつ病などの精神疾患の場合、精神科や心療内科を受診する前に、頭痛により近所の内科を受診していれば、その日が初診日として認定されることがあります。
ちなみに、障害年金の初診日は、医師または歯科医師の診療を受けた日、とされていますので、整骨院や鍼灸院等は初診日として認められません。
Ⅱ 保険料納付要件
Ⅰで初診日が確定したら、次に保険料を納めているか(未納がないか)をみます。
初診日の前々月において、直近1年間に保険料の未納がなければ、この要件はクリアです。
たとえば、初診日が10月10日だとすると、前々月の8月から1年分さかのぼって確認します。
会社員の場合は、給与から社会保険料が天引きされていれば、会社が納めているのでわかりやすいですが、初診日の当時、自営業や無職だった方などは注意が必要です。
※国民年金の保険料を払えない方が、免除の申請をしていれば、未納にはなりません。
このように、初診日の直前1年間に未納がなければ納付要件はクリアですが、1ヶ月でも未納がある場合は、次に、過去の納付状況をすべて確認して判断します。
このとき、全体で3分の2以上納めていれば、納付要件はクリアです。逆に3分の1を超えて未納があれば、納付要件を満たさず、残念ながら障害年金を受給できません。
ちなみに、保険料の未納があるかないかは、初診日の前日において判断されます。
たとえば、午前中に病院に行ってうつ病と診断されて、その日の午後に過去の保険料を払ってもダメ、ということです。
Ⅲ 障害認定日要件
次に、障害の程度が、障害認定日において、障害等級に該当するかどうか判断されます。
ごく簡単にいうと、障害等級は次のとおりです。
・1級:要介護状態・・・寝たきり
・2級:労働ができない + 日常生活に何らかの制限
・3級:労働に何らかの制限
障害認定日とは、原則は、初診日から1年6ヶ月後の日ですが、それ以前に症状が固定した日はその日となります。また、次のような例外もあります。
下記の傷病の場合は、初診日から1年6ヶ月後の日、または、下記の日のうち、早いほうの日が障害認定日となります。
(1)人工透析療法を行っている場合は、透析を受けはじめてから3ヶ月を経過した日
(2)人工骨頭または人工関節を挿入置換した場合は、挿入置換した日
(3)心臓ペースメーカーまたは人工弁の装着をした場合は、装着した日
(4)人工肛門または新膀胱の造設、尿路変更術を施術した場合は、造設または手術を施した日
(5)切断または離断による肢体の障害は、原則として切断または離断をした日
(6)喉頭全摘出の場合は、全摘出した日
(7)在宅酸素療法を行っている場合は、在宅酸素療法を開始した日
上記以外にも、たとえば脳出血の場合も1年6ヶ月を待たずに請求できることがあります。
ただし、精神疾患(たとえば、統合失調症、躁鬱病、うつ病など)の場合は、原則通り初診日から1年6ヶ月を経過した後で請求することになります。